今さら聞けない、というかそもそも知らない宿坊基礎知識 part1
2017年6月28日
どうも、坊主です。今回は、宿坊についての質問にQ&A形式でお答えしたいと思います。聞かれるたびに「またかよ」なんて思ってたんですが、冷静に考えると、普通に生きてたらそりゃ知らないですよね!思い込み、危険です。
目次
- 1.そもそも宿坊って、なに?
- 2.お寺だけでなく、神社にも宿坊ってあるの?
- 3.ってかお寺と神社って何が違うの?
- 4.なにができるの?
- 5.どんな流れになるの?
- 6.どこにあるの?
1.そもそも宿坊って、なに?
A:お寺や神社にある宿泊施設のことです
もともと、お坊さんや神主さんが寝泊まりする場所でしたが、平安時代に遠くのお寺や神社への参拝が貴族を中心に広まると、参詣の前に人々が身を清める場所として広まりました。ちなみに、これが日本における観光の始まりだと言われています。
国内の争いがひと段落した江戸時代になると、信者だけでなく、一般庶民も観光気分で寺社参拝に出かけるようになり、各地のお寺や神社で宿坊が整備されました。
尚このころ、庶民が何人かでお金を積み立ててお参りに行こうという、「講(こう)」という仕組みが生まれました。御師(おし)という神社を布教する人たちが考え出したと言われています。先日日本遺産に認定された、大山詣で(神奈川の大山阿夫利神社への詣で)も、このころ大いに流行したようです。
今では誰でも気軽に泊まれる宿となっています(*一部、信者専用の宿坊もあります)が、多くの場合家族で運営していますし、そもそも宗教施設なので、高級ホテルのような手厚いサービスはありません。そのあたりの期待値は下げておいた方がよろしいかと思います。
ちなみに、私は何事もあまり期待しないようにしてます。ガッカリしないし、上振れると嬉しいです。負の感情をコントロールする術として結構おすすめです。
2.お寺だけでなく、神社にも宿坊ってあるの?
A:あります
お寺系宿坊と神社系宿坊があります。神社系の方が、いい意味でゆるいことが多い印象ですが、お寺系宿坊の方が、「宗教施設に泊まってる感」が強いことが多いです。
3.ってかお寺と神社って何が違うの?
A:結構、違いますよ
一番の違いは、「なにを拝むか」です。お寺は主に仏像を、神社は火、鏡など自然物であれ人工物であれ神様が宿るとされるご神体を拝みます。
そのほか細かいところでは、俗世間と聖地との境界である「入り口」として、お寺には山門、神社には鳥居があります。魔を払う「守衛」として、お寺には仁王像が、神社には狛犬がいたりします。
4.なにができるの?
A:いろいろできます
場所によりけりですが、お寺系の宿坊では、座禅、写経、精進料理、写仏、お勤め(お坊さんたちが仏壇の前でお経を唱える法要)への参加ができることが多いです。
神社系では、瞑想、滝行、山伏修行といった体験ができることがあります。
そば打ち体験、数珠作り、断食指導、といった趣向を凝らした体験を提供している宿坊もあります。尼僧体験なんてのもあるようですが、わたしは一生行けなさそうなので、どなたか行ったら感想を教えてください。
5.どんな流れになるの?
A:よくあるスケジュールを書いてみました
以下のような流れです(お寺神社共通)。
1日目
15時チェックイン →
16時半座禅 →
18時夕食(精進料理) →
22時就寝
2日目
6時起床 →
6時半朝のお勤め →
7時半朝食(精進料理) →
9時写経 →
10時チェックアウト
門限がある場合もあるので、よく確認しましょう。
夜遊びしたい時は、、、ばれないようにしましょう。
6.どこにあるの?
A:全国にあります
代表的な集積地としては、以下が挙げられます。
お寺系:
善光寺(長野)、身延山(山梨)、京都(京都)、高野山(和歌山)、四国遍路(四国)
神社系:
御岳山(東京)、戸隠(長野)、大山(神奈川)、出羽三山(山形)
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ライター情報
MBAアントレ坊主
漫画、麻雀、ゲームを愛する一方、絶望的な写真のセンスの無さに苦悶中の、浄土宗某寺副住職。金融機関の本店、シンガポール拠点での勤務、パリ郊外の経営大学院でのMBA取得を経て、ENYSiの創業に参画。