*和風月明とは1年の12か月を、旧暦の季節や行事に合わせた季節感を現す和風の呼び名です。(現在の暦に合わせると、1~2ヶ月ほど季節感がずれています。)
目次
- ・7月(文月)・岩もる水
- ・8月(葉月)・竹流し
- ・9月(長月)・月見団子
- ・10月(神無月)・栗きんとん
- ・11月(霜月)・亥の子餅
- ・12月(師走)・木枯らし
7月(文月)・岩もる水
文月(ふみづき):7月の行事と言えば七夕。短冊に願いごとや詩歌を書き笹につる風習を「文被月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)」といい、これが変化したというのが定説となっています。稲の穂が膨らむ(含む)月であることから「穂含み月」「含み月」→「ふみづき」となったとする説もあります。
岩もる水:「岩から染み出てくる清水」という意味を持ち、緑色の葛が苔むした岩を、白い部分が水を表し、見て食べて涼を感じるお菓子です。葛は消化がよく胃腸に負担をかけないので、夏バテにもぴったりですね。
8月(葉月)・竹流し
葉月(はづき):葉の落ちる月「葉落ち月」が転じて「葉月」になったという説が一般的なようです。また、稲の穂が張る月「穂張り月」「張り月」から「葉月」となったとする説もあります。
竹流し(竹筒入り水羊羹):涼しげな青竹からつるりと出てくる水ようかん。竹の良い香りがする水ようかんを冷たい緑茶と一緒に頂くと、暑さもすっかり忘れます。
9月(長月)・月見団子
子供のころに、この写真のようなお団子を食べるのが夢でしたが、まだ一度も叶っておりません。
関西の月見団子は里芋のような形
長月(ながつき):夜がだんだん長くなる「夜長月(よながつき)」の略とする説が最も有力です。また「稲刈月(いねかりづき)」「稲熟月(いねあがりづき)」が約されたという説もあります。
月見団子:言わずと知れた月見団子。お月見は平安時代に中国から伝わった風習で、もともとは里芋を食べることから、里芋の収穫祭であったという説があります。関西の月見団子は里芋のような形で餡子がついています。地域によって違う形で残っており面白いですね。
10月(神無月)・栗きんとん
神無月(かんなづき):10月に全国の神々が島根の出雲大社に集まり、その他の国々に神様が不在になることから「神無月」という説を良く聞きますが、実は6月の「水無月」と同じように「神の月」という意味であり、神を祭る月というのが有力な説です。
栗きんとん:栗の収穫が始まるこの時期に販売されているのが、栗きんとん。「栗きんとん」は、栗と小豆のそぼろ餡の事ですが、よくある茶巾でしぼった形の「栗きんとん」は、京都では「きんとん」とは呼ばず、「茶巾(ちゃきん)」と呼んで区別しています。色々な和菓子屋さんの栗きんとんを食べ比べしたいですね。
11月(霜月)・亥の子餅
霜月(しもつき):霜月はそのまま「霜が降る月」を意味しています。別の説では「10」を一区切りとして10月までを「上な月」とし、それに対して「下な月」→「下月」となったという説もあります。
亥の子餅(いのこもち):亥の子餅の歴史は古く、無病息災、子孫繁栄を願う古代中国の宮廷儀式「亥子祝」が日本に伝わり、平安時代の宮中で亥の形をした餅を献上する行事として取り入れられたのが始まりと云われております。茶の湯の世界では、亥の月の最初の亥の日に「炉開き」を行う慣習があり、茶席菓子 として「亥の子餅」が出されることが多いです。
12月(師走)・木枯らし
師走(しわす):いよいよ12月。年の瀬ですね。師走の「師」はお寺のお坊さんのことです(私は「教師」のことだと勘違いしていました)。昔の日本では年末になると、お経を上げるためお坊さんに自宅に来ていただく風習があったことから、お坊さんが東へ西へ移動で大忙しになることから「師が馳せる」→「師走」になったという説が良く知られています。また、日本書紀や万葉集などの書物には、十二月(十有二月)をしわすと呼んでいたとされる記述が残っています。
木枯らし:練り切り製の葉でこし餡をくるんである和菓子。中の餡や練り切りの種類は様々ですが、色合いや形で季節感が一目で分かるお菓子です。
まとめ
形や色で季節の移ろいが感じられる和菓子は、日本の大きな文化遺産です。五穀豊穣や無病息災を願い、遥か昔から伝え残されてきた日本の文化と風習を感じながらぜひ味わってみてください。
ライター情報
MIKA
都内某音楽大学出身。海外留学、専業主婦、法律事務所、外資系消費財メーカーを経て、単身、地方移住を実行、京都にてENYSi参画。 趣味:日本酒、特技:日本酒、好きな言葉:酒。好きな男性のタイプはキレイに&スマートに酒を飲めるひと。