千利休に学ぶ“茶の湯”の魅力って…?
2017年7月3日
あなたはアウトドア派?インドア派?と一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?!それでいうと、私はアウトドア派かなと。
お天気の良い日はとにかく外に出たくなる…中でもその楽しみの一つはカフェすること。
単純に食べることが好きなことはそのままに、その時期折々のメニューが楽しめたり、のんびりできる空間が心地良かったり…
と今まではただ何となくそう思っていましたが、最近“茶の湯”という言葉に興味を持ち、色々と調べてみると…だからカフェが好きなんだ!と納得する部分がたくさんあることがわかりました。
今日はそんな“茶の湯“の魅力についてのお話をしたいと思います。
目次
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・茶の湯ってなあに?
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・「千利休」ってどんなひと?
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・千利休の茶道の心得「四規七則」とは?
1.茶の湯ってなあに?
茶道の歴史は約800年。鎌倉時代、禅宗を学びに中国へ渡っていた僧侶・明菴栄西(みょうあん えいさい)が、禅宗とともに、抹茶を飲む習慣(喫茶文化)を持ち帰ってきたのが始まりとされています。当時、茶は眠気覚ましとして座禅の際に重宝され、その中でも抹茶は万病に効く薬として飲まれていたそうです。そして、その美味しさゆえに嗜好飲料として公家や武士、僧侶の間で喫茶が定着したそうです。
茶を飲む習慣が広がってくると、人々は茶を理由に寄り合うようになります。その後、登場したのが村田珠光(むらた しゅこう)という人物。栄西の広めた茶の薬効を求め、味わいを楽しむ喫茶法を主張し、禅と茶の精神を統一させた「侘び茶(わびちゃ)」を説き始めました。
茶人として高い見識を認められた珠光は、心の在り方や道具に対する態度を明確に示しました。茶席には少人数の客を招き、心を込めてもてなすことを何よりとする侘び茶は、当時の喫茶の世界に大きな影響を与えました。これが茶の湯の始まりと言われています。
また、茶の湯は、お茶を飲むことはもちろんですが、茶室や庭といった空間、床に掛かる掛物や釜などをはじめとした道具、季節によって選ばれる植物、お客様にふるまう料理やお菓子など、様々な要素や文化が混ざり合って生まれるものとして提唱されています。
後に、千利休(せんのりきゅう)は茶の湯の大成者として、後世に大きな影響を与えたことも有名です。
と、知れば知るほど茶の湯の世界に興味が湧いてくると同時に、私にとってのカフェはまさに茶の湯だ!と最近はそんな風に思うようになりました。
メニューや器、インテリア、そこから見える景色、スタッフのもてなしなど、ただそこにいるだけで心が落ち着いてリラックスできたり、時にはアイデアが膨らんだり…なんとなく感じる心地良さが好きなんです^^
先日、そんな心地良さを求めて、「浜離宮恩賜庭園」へ行ってきました。
実は東京に住んでいながらも訪れたのは今回が初めてでしたが、都心でこんなにも緑豊かで落ち着く場所があるんだ〜と、なんだか新鮮でした♪
目的地の茶屋はこの橋を渡った先に…
中はこんな感じです。
海外からの観光客も多く…
はい。お目当はこれです。
心地よい風を感じながらいただくお抹茶は最高でした♪
2.「千利休」ってどんなひと?
千利休(せんのりきゅう)という名前は、必ずどこかで聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?お茶に関係する人…ぐらいのイメージはありますよね。ここでは、千利休がどんな人だったかということを振り返ってみたいと思います。
千利休は、1522年、泉州堺 (大阪府堺市)の魚問屋の長男、幼名田中与四郞(たなかよしろう)として生まれる。19歳より 武野紹鴎(たけの じょうおう)に「わび茶」という茶の湯を学び、次第に頭角を表すようになり、53歳で茶人となり、織田信長が京都の妙覚寺で茶会をした時に茶頭を務めました。
61歳のとき「本能寺の変」で信長没後、同年に豊臣秀吉の命を受けて日本最古の茶室建造物の草庵茶室「妙喜庵 待庵(みょうきあん たいあん)」をつくります。
64歳、秀吉が催した禁中茶会で可動式の黄金の茶室をプロデュースし、後にお茶の一大イベント「北野大茶湯(きたのおおちゃのゆ)」を取り仕切ります。イベント当日の亭主には、利休、津田宗及、今井宗久、そして秀吉本人という4人の豪華な顔ぶれが並び、会場全域に設けられた茶席は800ヶ所以上、参加者は約1600人とも伝えられています。
利休と秀吉は茶の湯の最盛期「北野大茶湯」をピークに、やがて両者の関係が悪化し、天正19年(1591年)、利休は突然秀吉の逆鱗に触れ、堺に蟄居を命じられました。
前田利家や、利休七哲のうち古田織部、細川忠興ら大名である弟子たちが奔走したが助命は適わず、京都に呼び戻された利休は聚楽屋敷内で切腹を命じられ、生涯を終えました。享年70。
3.千利休の茶道の心得「四規七則」とは?
現在の茶道の原型を完成させた千利休は、茶道の心得を「四規七則(しきしちそく)」と説いています。「四規」とは和敬清寂(わけいせいじゃく)の精神のことを指し、一般的にも言われる侘び寂びの精神性を端的に表したもの。この言葉には一体どんな意味があるのでしょうか?
<和敬静寂(わけいせいじゃく)>
・和 = 協調性を重んじる、分かち合う
・敬 = 謙虚に人や物事を敬う
・清 = 道具も心も身も清らかにする
・寂 = どんな時にも動じない心を持つ
一方、「七則」とは、他人に接するときの以下七つの心構えです。
<七則(しちそく)>
・茶は服の良きように点て
=何事も相手の立場、気持ちになって考える
・炭は湯の沸くように置き
=何事も丁度良い配置や手順を考える
・花は野にあるように
=何事も自然にある美しさを活かす
・夏は涼しく冬暖かに
=何時も季節の移ろいを大切にせよ
・刻限は早めに
=何時も約束の時刻より少し早めにせよ
・降らずとも雨の用意
=何時もあらゆる準備を怠るな
・相客に心せよ
=何事も周囲に対する気遣いを忘れるな
さらにわかりやすくまとめると…
「心を込めて、本質を見極め、季節の移ろいを大切にし、いのちを尊び、ゆとりを持ち、やわらかい心を持ち、たがいに尊重しあう」
のが大切だということ。この言葉の意味を深く知ると、現代の日本社会に必要な精神的支柱と考えられている理由がわかる気がしますね。
千利休の人を感動させる力は、知れば知るほど深く、茶道を通じてその心遣いを感じることができることや千利休の教えに魅力を感じ、茶の湯の道へ足を踏み入れる人も多いのではないでしょうか。私も茶の湯について、まだまだこれから勉強していこうと思います♪
<追記>
そういえば…最近、母からチケットをもらって映画『花戦さ』を鑑賞してきたのですが、最初は、題名から少し重い話??とかポスターからはコメディなのか?!と思ったり…笑えるセリフとシーン、それぞれの役柄にユーモアさを交えながら、茶道、華道、日本画、そして日本文化の美しさが表現されていました。
「花はひとの心を動かす…」
そんなことを教えてくれた映画です^^以下、私のおすすめの本です。
◆おすすめの本(amazon)
『喫茶養生記(きっさようじょうき)』
栄西が著した医学の書。養生とは、五蔵を健全に維持することを指し、五蔵の好む五味(酸・辛・苦・甘・鹹(かん))のなかで、とくに心臓を強くする苦味が摂取しにくいので、苦味を補給する茶を飲むことが必要と説いている。
『茶、利休と今をつなぐ』
現代までに続く茶事・茶の湯の真理や精神、歴史をとても分かりやすくスマートに整理された思考が読み取れる一冊。
『茶の湯入門』
茶の湯の基本の話を中心に、茶会の心得、茶道具や空間の愉しみ方などがわかりやすく紹介がされています。最近お茶を習い始めた方、お茶に興味があり、これから学んでいきたいと思っている方にも親しみやすいおすすめの一冊。
ライター情報
yacco(やっこ)
ウェディング、ホテル業界にてプランナー、総支配人補佐を経験後、ナチュラルコスメのPR、商品開発に従事。その間、ヨガ、マタニティヨガインストラクターの資格取得。数々の経験を経て…ようやく行き着いた先は“美と健康”。アラサーからアラフォーに差しかかり、キャリアとプライベートのバランスに悩む楽天家。よく笑うが、その声は壁を越える。