- 古民家に泊まる
- 住む人たちの知恵を積み重ね、自然と調和した形で土地に根差す古民家。ひんやりとした土間を上がると、広間の囲炉裏(いろり)で炭火が赤々と燃え、柔らかい光が空間を満たします。太い柱や梁(はり)が放つ古い木ならではの温もり。日本の伝統的な民家には用途に沿った美が散りばめられています。快適な宿として生まれ変わった歴史的古民家が持つ良質な木の空間で、現代建築の宿にはない土着的体験を味わう旅。古民家に滞在し、懐かしい日本の原風景を探してみましょう。
- 古民家とは
- 思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)は急速な近代化がもたらした物質的な豊かさに対し、民衆の暮らしの中から生まれた美「民藝」の価値を再提示しました。柳は「民家は民衆の建物でいわば建物の中の民藝」としています。民家は地域の風土の中、生まれました。傾斜が急な屋根を特徴とした豪雪地帯の伝統的民家や、連なって古い町並みをなす都市部の町家を訪れると、地域の暮らしの中で考えられた知恵と技術を垣間見ることが出来ます。古民家には上位文化とは違った日本各地の風情があり、その土地の生活に沿った機能と美しさが表れています。
- 古民家で体験できること
- 古民家には懐かしい日本のふるさとの気配が漂います。山歩きに川や海での釣り。旬の野菜や果物の収穫。近隣の豊かな自然に寄り添った楽しみがあります。陶芸に絵付け、手織りに染色といった工芸を体験し、地域の暮らしに密接な文化に触れることができます。家の中を満たす木や土の温もりと囲炉裏を囲んだ団欒。かまどで炊くごはんや地元の食材で作られる郷土料理。昔の暮らしを体験し、郷愁を覚えるのも古民家の醍醐味の一つでしょう。古民家が守られてきた美しい景観は、どこかで現在の私たちの暮らしとつながり、心に響きます。